なぜ、誰も見なかった事件が“永遠の物語”になったのか。
殺人鬼の心に光を当てた作家が教えてくれた、ブランドの核となる“隠れた真実”とは?

    1. Characterizing

    ハーバート・クラッターは震えていた。

    目の前の男が、自分の眉間に散弾銃を向けていたからだ。

     

    どうして深夜の自宅に、見知らぬ2人の男がいる?

    なぜ彼らは、私に銃を向けている?

     

    ハーバートは農夫で、カンザス州ホルカムという田舎町では有名人だった。

    農場組織会議の議長として、その名が知れ渡っていた。

    少し神経質な妻と、背の高い息子、街の人気者である娘と暮らしている。

     

    クラッター家は、勤勉、温和、品行方正を絵に描いたような家族だ。

    誰かに恨みを買うなんて、ありえない。

    だからこそ、ハーバートは今の状況が理解できなかった。

     

    「金庫の場所はどこだ?」

    2人の男のうち1人が、ハーバートに尋ねた。

    「金庫?そんなものはありません」

    ハーバートは、2人の男を刺激しないよう慎重に続けた。

    「今持っているお金はあげますから、眠っている妻や子供たちには手を出さないでください」

     

    ホルカムの夜は静かだった。

    根無し草が風に転がるカサコソという音、コヨーテの遠吠え、あとは微かに汽笛が聞こえるだけ。

     

    だがその夜だけは違った。

     

    爆発のような4発の轟音が響く。

    ハーバート・クラッターとその妻、そして子供たちは殺された。

     

    これは1959年に
    実際に起きた事件だ

     

    クラッター家は殺された。

    強盗目的で家に侵入した、浮浪者2人による犯行だった。

     

    この事件は、新聞の小さな記事になった。

    だが悲惨な事件は、毎日起こる。

    クラッター家殺人事件は、他の多くのニュースに埋もれていった。

     

    この事実に、僕はため息をついたのを覚えている。

    人はどんな悲惨な事件よりも、今日の夕飯に何を食べるかに悩む。

    それは僕も同じだと気づいたとき、顔が赤くなったことを告白しよう。

    どんな大事件でも、人は忘れてしまうものなのだ。

     

    しかしこの事件は後にアメリカ中、いや世界中に知れ渡ることになる。

     

    1人の男が、この事件にスポットライトを当てたのだ。

    男の名はトルーマン・カポーティ。

    自他ともに認める天才作家だった。

     

    天才作家に学ぶ
    情報発信の極意とは?

     

    カポーティは『ティファニーで朝食を』の原作者として知られる。

    だが彼の本当の功績は、ストーリーテリングの新たなジャンルを築いたことだろう。

     

    ある日、カポーティは新聞をめくると、クラッター家殺人事件の記事を見つける。

    小さな記事だったが、クラッター家と犯人の対比がカポーティを惹きつけた。

    カポーティはこの事件を取材し、『冷血』という一冊の小説を書いた。

     

    『冷血』は実際の事件を小説の技巧で書く、ノンフィクション・ノベルの金字塔である。

     

    「新たなジャンルを築く」という視点は、僕らにとっても重要だ。

    あなたは専門分野について発信する際、「あなた」というジャンルを築かなければならない。

    なぜなら、現代は「誰が発信しているか」が重要な時代だからだ。

     

    あなたというジャンルを築くために必要なこととは?

     

    僕はずっとストーリーブランディングにおける「キャラクターの重要性」について語ってきた。

    (TELLING読者ならもう耳にタコができているかもしれない…が、そのタコをもっと大きくするのが、僕の仕事といってもいい)

    それは僕らが「What(何が)」より「Who(誰が)」が重要な時代を生きているからだ。

     

    ストーリー(情報、知識、コンテンツ、サービス)が溢れている現代では、「何を」語るかだけではブランドは築けない。

    なぜなら、オーディエンスは大量のストーリーの中で迷子になっているから。

     

    僕は子供の頃、家族でキャンピングカーのイベントに出かけたとき、迷子になったのを覚えている。

    あのとき僕は、自分がどこへ行けば家族に会えるのかわからず、もう2度と家に帰れないんじゃないかと泣きじゃくっていた。

    あれは本当に怖かった。

     

    オーディエンスはあのときの僕と同じなのだ。

    情報が溢れすぎてには「どこに行けばいいのか」がわからない。

    好感が持てて、信頼できる人から情報を受け取りたいと思っているのだ。

     

    だからキャタクターを表現できなければ、ブランドを築くことはできない。

     

    誰もが誤解するストーリーテリングの落とし穴

     

    プロッターはこの事実を知らない。

    彼らは「ストーリーを語れば誰でもブランドが築ける」と語る。

    これは愚かな発想だ。

     

    真実は「キャラクターを表現するストーリーだけがブランドを築く」である。

    ただ闇雲にストーリーを語っても、意味はない。

     

    今はまだ誤魔化せるかもしれない。

    だがキャラクターを表現できなければ、いずれオーディエンスはあなたの元から去っていくだろう。

     

    その日は突然やってくる。

    幸福だったクラッター家が突然殺されたように…。

     

    「それはわかっているけど・・・」

     

    今すぐにキャラクターを表現するためのストーリーを語る必要がある。

    だが自分のキャラクターを知り、実際に表現するとき、それがいかに難しいかをあなたは知ることになるだろう。

    「あなたのキャラクターを物語ってください」と言われて、すぐにそれがどきたら苦労はないわけだ。

     

    自分のキャラクターを物語り、あなたの市場に「あなたというジャンル」を築く…そう聞くと、難しいことに思えるかもしれない。

     

    どうすれば自分のキャラクターを表現できるのだろう?

     

    今回はこの問いに対し、こう結論を述べよう。

     

    見過ごされた「隠れた真実」を語れ。

     

    これがキャラクターを表現する方法だ。

    自分が埋もれないために、埋もれている真実を救い出すのだ。

     

    今回の記事では、どのようにこの結論が導かれたのか、その旅路をあなたと一緒に辿っていく。

    この記事を最後まで読めば、あなたはストーリーブランディングにおけるキャラクターの表現方法について理解できるだろう。

    それはあなたの世界観を発揮しながら、迷子を導く存在になるということだ。

     

    今回の旅は以下の3章で進めていく。

    第1章:隠れた真実がストーリーテラーにもたらす恩恵とは?
    第2章:隠れた真実がトライブに与える影響とは?
    第3章:隠れた真実を発見するために…

     

    具体的には以下の内容に触れていく。

    • あなただけの独占市場を作る方法とは?
    • 9割の人が勘違いしている資本主義の本当の姿
    • 隠れた真実を見つけるためにはどこを探せばいいのか?
    • 発信に一貫性を持たせるためにすべきこと
    • 世界を裏で動かす男の究極の問いとは?
    • 常識にとらわれない発想をする方法
    • なぜあなたは高価でもiPhoneしか買えないのか?
    • Amazon創業者が見つけた隠れた真実とは?
    • ライターズブロックを回避する方法
    • 「競争は負け組のすること」と言える理由とは?
    • 隠れた真実を見つけるための3つの習慣とは?
    • なぜカポーティは1つの記事から傑作小説を生み出せたのか?

     

    さて、隠れた真実を発見し、あなたというジャンルを築くための心の準備はできただろうか?

     

    僕らの旅路は、あの一夜の事件から始めよう。

    トルーマン・カポーティは小さな新聞記事から、いかにして大きな新ジャンルを築いたのか?

    この物語には、あなたのブランディングへのヒントと、天才作家の人知れない葛藤が隠されていた…。

     

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    第1章
    隠れた真実がストーリーテラーにもたらす恩恵とは?

     

    「犯人が捕まるかどうかはどうでもいい」

    セレブが集まるニューヨークの社交界で、カポーティは話していた。

    「事件が街に与えた影響を、取材して書きたい」

     

    『ティファニーで朝食を』でその名声を確立したカポーティは、社交界でも有名人だった。

     

    若い頃は美しい顔立ちだったカポーティ。

    だが今はとてもハンサムとは言えなかった。

     

    160cmと背が低く、ずんぐりとした体型。

    鳥が鳴くようなキーキーという独特の声。

    特徴的な垂れた目は、人を見透かすような眼差しが備わっていた。

    そして彼はゲイだった。

     

    決して美しいとは言えない外見だが、その類まれなる文才と、ウィットに富んだ話術は、彼をカリスマにした。

    「彼の隣に座れたら、飛び上がるほど嬉しかった」

    当時の社交界を知る女性の言葉だ。

    「彼はゴシップ通だったから。なんでも話してくれた」

     

    その惹きつける話術を駆使し、カポーティはクラッター家殺人事件を取材していた。

    この事件の担当だったアルヴィン・デューイ刑事とも親交を深め、ともに事件を追った。

     

    ある日、デューイ刑事から連絡が入る。

    「犯人の2人が捕まった」

     

    対照的な2人の殺人鬼

     

    カポーティはカンザス州行きの列車へ飛び乗った。

    2人の犯人へ面会するためだ。

     

    2人は引き離された鉄格子の中にいた。

    ディックとペリーという男だ。

     

    ディックは逞しいが細身の体格で、幾つものタトゥーが彫られている。

    ぶっきらぼうな態度で取材に応じた。

     

    ペリーは対照的だった。

    がっしりとした上半身に、不釣り合いなほど小さな脚。

    そのせいで身長はとても低かった。

    右膝に古傷があり、右足を引きずるような歩き方をした。

     

    ペリーは内向的でほとんど喋らなかった。

     

    カポーティはペリーに惹かれていた。

    「この人は、何かが違う」

    思い描いてた殺人鬼のイメージとは違ったペリーに対し、カポーティはそう思った。

     

    怪物の心には何が隠されているのか?

     

    面会を続けていくうちに、ペリーも徐々に警戒心を解いていった。

     

    ペリーの机の上に、自画像が無造作に置かれているのに、カポーティは気づいた。

    とても上手だった。

     

    ペリーには芸術的な才能があったのだ。

    だがその才能は、彼の人生に活かされることはなかった。

     

    カポーティは、なぜ自分がペリーに惹かれているのかが、なんとなくわかっていた。

     

    ペリーは自分と似ているのだ。

    背が低く、ずんぐりとした体型。

    芸術的な才能。

    そして、似ていたのはそれだけではなかった。

     

    「俺は施設で育った」

    ある日、ペリーは語った。

    ペリーは誰からも愛情を受けられずに育ったきたのだ。

     

    「君はそんなに特別じゃない」

    カポーティは優しい口調で答える。

    「僕も子供のころは、何度も親に捨てられた」

     

    幼かったカポーティは母親に連れられ、街から街へ移った。

    母親は新しい街で、新しい男に出会う。

    その間、カポーティはホテルに閉じ込められていた。

    怖くて叫んでも、誰もきてくれなかった。

     

    そんな生活の数年後、母親はカポーティを捨てた。

    カポーティを親戚の家に預けたのだ。

     

    カポーティは愛に飢えていた。

     

    そんなカポーティがバディと呼び合ったのが従姉のスックである。

    スックは母親ほど歳が離れていたが、おそらく何らかの発達障害を持っていた。

    スックは無垢な少女のような存在で、子供だったカポーティにとって同い年の友達のような存在だった。

    カポーティはスックの焼いたクッキーが好きだった。

     

    殺人鬼と作家の不思議な友情

     

    カポーティは今でもクッキーを(つまりは無情の愛を)求めていた。

    社交界での華やかな振る舞いは、心に巣食う孤独感から逃れるためだった。

     

    カポーティはペリーの内に、幼少期の自分を見つけた。

    似たもの同士の2人には、不思議な友情が生まれていた。

     

    カポーティはペリーに対して、こんな言葉を残している。

    「僕らは同じ家庭に育った。しかし、いつしか彼は裏口から出て行き、私は表玄関から出た」

    トルーマン・カポーティ[作家]

     

    だがこの友情が、後にカポーティを苦しめることになる…。

     

    隠れた真実がキャラクターを創る

     

    自分だけが気づいていること。
    自分だけが知っていること。

    あなたが見つけた隠れた真実は、あなたのブランドを作る。

    なぜなら隠れた真実は、キャラクターを際立たせるから。

     

    下記の記事で語ったように、あなたのキャラクターは「あなたの人生の意義」とリンクしている。

     

    意義とは、あなたが「何を追求し証明したいか」だ。

    意義を体現することが キャラクタライズである。

     

    そして隠れた真実は、何かを追求する道の途中で見つかる。

     

    僕が思うに、カポーティのキャラクターを創った意義は、以下の通りだ。

    「仮面の下の本性を暴く」

    この意義がカポーティの活動を支えた。

     

    カポーティは母親という仮面を被った無慈悲な女性に捨てられ、チビのゲイという仮面を被されて生きてきたからこそ、仮面の下にこそ人間の本性があると気づいた。

     

    『ティファニーで朝食を』の登場人物ホリー・ゴライトリーも、華やかな生活をしつつ、愛を求めて根無草のように彷徨う女性だった。

    カポーティは仮面と本性を体現する作家なのだ。

     

    「小説とはフィクションだ」

    「殺人鬼は怪物だ」

    誰もが信じて疑わなかった。

     

    だがカポーティはその仮面の下の本質を見逃さなかった。

    「仮面の下の本性を暴く」ことを追求したからこそ、殺人鬼の心をノンフィクション・ノベルで描くことができたのだ。

    (誰もが仮面の下に本性を隠していることも、隠れた真実と言えるかもしれない)

     

    隠れた真実を語ることは、キャラクターの表現になるのだ。

    そう、 「我物語る、ゆえに我あり」である。

     

    隠れた真実からキャラクターを導く

     

    カポーティは隠れた真実を発見した。

    小説の技巧はノンフィクションに活きる
    殺人鬼の内側にも人間の心がある

    それはカポーティの「仮面の下の本性を暴く」という意義から導き出された真実だ。

     

    これは逆の導きも可能だ。

    もし隠れた真実を見つけたら、そこに意義のヒントがある。

     

    自分のキャラクターを知るために、「他の人が気づいていない重要な真実はあるか?」と考えるは効果的だ。

     

    隠れた真実を見つけたら、なぜその真実に気づけたのかを考えよう。

    そこにはあなたの価値観が影響している。

    隠れた真実はあなたが人生で育んだ視点を浮き彫りにするのだ。

     

    ライターズブロックをぶっ壊す方法

    自分のキャラクターが理解できたら、あとはそのキャラクターに沿った発信をすればいい。

     

    プロッターは発信する際、「何を書けばいいのかわからない」状態になることがある。

    いわゆるライターズブロックというやつだ。

    PC画面で点滅するカーソルを見つめる時間だけが過ぎていく。

    (あれほど苦痛を感じる時間はない…)

     

    何を書けばいいのかわからないのは、キャラクターを理解していないからだ。

     

    カポーティは自分が何を書けばいいのかを知っている。

    彼は「仮面の下の本性」について書けばいいのだ。

    あとはどのように書けばいいかを考えるだけ。

     

    キャラクターに沿った発信は、世界観の一貫性を創る。

    そして世界観の一貫性が、ブランドを構築するのだ。

     

    この一貫したキャラクターは、ときに常識とは異なる行動を生む。

    カポーティ以前は、ノンフィクションを小説の技巧で書くなど誰も考えなかった。

    キャラクタライズは、隠れた真実を見つけやすくするのだ。

     

    大きな成功は、小さな真実が支えている。

    それが子供の頃に発見した、小さな真実だとしても。

     

    子供の頃に発見した隠された真実が
    世界一の大富豪を支えた

     

    隠れた真実に従って成功した人は多くいる。

    Amazonの創業者ジェフ・ベゾスもその1人だ。

     

    僕が好きなメゾスの逸話で「才能と選択」というの話がある。

     

    ベゾスがまだ少年のとき。

    たまたま見かけた禁煙の広告があった。

    その広告のデータを元に、ベゾスはタバコを吸っていたおばあさんにこう言った。

    「そのペースで吸ってるなら、もう寿命は9年縮んでるだろうね」

    するとおばあさんは泣いてしまった。

     

    困惑しているベゾスに、おじいさんは叱るわけでもなく、こう語った。

    「ジェフ、賢いよりも優しいほうが難しいだ」

     

    ベゾスはこのおじいさんの言葉から「才能と選択はちがう」ことを学んだ。

     

    頭がいいのは才能。

    優しさは選択なのだ。

     

    才能を発揮するのは簡単だけど、優しいことを選択できるかは難しい。

    優しさとは「相手が何を求めているか」に合わせて行動を選択することなのだ。

     

    ベゾスのこの体験がAmazonの「顧客第一主義」につながっている。

     

    他の企業が競合他社の分析をしている間、Amazonは顧客を見ていた。

    そしてAmazonは「品揃え」「低価格」「利便性」という3つの柱を掲げ、「顧客に早く届けること」にこだわった。

    それが顧客が求めていることだったのだ。

     

    たくさんの企業の中で埋もれないために、他の企業に目を向け、どう差別化するかを考えるのが一般的な時代。

    ベゾスはそこに「他社ではなく顧客を見る」という隠れた真実を発見した。

     

    この真実を発見できたのは、少年の頃におじいさんから学んだ「才能と選択」の視点があったからだ。

     

    子供の頃の小さな発見が、世界を統べる巨大なブランドを築いたのだ。

     

    このように隠れた真実を見つけることは、あなた自身のブランディングに必要である。

    …と同時に、 トライブにとっても重要だ。

    次は隠れた真実がトライブに与える影響を見ていこう。

     

    第2章
    隠れた真実がトライブに与える影響とは?

     

    カポーティは葛藤していた。

    ディックとペリーが死刑になれば、本は売れるだろう。

    だがそのとき、同時にカポーティは友人を1人失うことになる。

     

    カポーティは名声と友情の板挟みに耐えられなかった。

    カポーティはどんどん疲弊し、酒に溺れていく。

    もう限界だった。

     

    ある日、電話のベルが鳴る。

    カポーティはまだベッドの中で、二日酔いの頭痛で起き上がれなかった。

     

    やっとの思いで受話器を手繰り寄せ、耳に当てる。

    電話の向こうでデューイ刑事は言った。

    「2人の死刑が決まった」

     

    酒浸りの人、トライブを作る人

     

    いくら酒に逃げても、現実に立ち向かうときはくる。

    そのとき、酒は何も解決しないと知るのは、カポーティだけじゃない。

    僕らもだ。

     

    ここで言う酒とは、表面的な解決法のこと。

    表面的な解決法を追い求めても、本質的な解決はできない。

     

    酒に溺れているのがプロッターだ。

    彼らはキャラクタライズを怠り、プロットでオーディエンスを煽ることしかできない。

    その先にあるのはトライブではなく、二日酔いの頭痛だけだ。

     

    トライブを構築するための本質的な解決法は、隠れた真実を見つけることだ。

    隠れた真実はオーディエンスを連れてくる。

    なぜなら隠れた真実は、あなただけの独占市場を作るから。

     

    オーディエンスを集め、トライブを作りたいなら、独占市場を作るべきだ。

    世界を影で動かすあの男も、同じことを言っている。

     

    シリコンバレー最強の男からの問い

     

    「賛成する人がほとんどいない、大切な真実はなんだろう?」

    これはピーター・ティールが、採用面接で必ず訊く質問だ。

     

    ティールはシリコンバレーで最も影響力のある起業家・投資家である。

    決済システムPayPalの創業者であり、Facebookの初期投資家でもある。

     

    PayPalは世界に影響を与えた人物を多数輩出している。

    イーロン・マスクを中心に、YouTube設立者、Linkedin設立者は、皆PayPal出身者なのだ。

    その影響力から、彼らはペイパルマフィアと呼ばれている。

    そしてペイパルマフィアのドンと言われるのが、ピーター・ティールだ。

     

    さらにティールはドナルド・トランプの元政策顧問も担当しており、影の米大統領とも呼ばれることもある。

    まさに世界を裏で動かす男なのだ。

     

    そんなティールが最も大切にしているのが、先ほどの問い。

    「賛成する人がほとんどいない、大切な真実はなんだろう?」

     

    あなたなら、どう答えるだろう?

    続きを読む前に、立ち止まって考えてほしい。

    その答えが、あなたのトライブの核になるから。

     

    ティールはいくつもの隠れた真実を見つけてきた。

    そのひとつが「競争するのはバカのすることだ」ということ。

    そして「独占市場を作ることが成功の鍵」ということだ。

     

    競争と独占
    資本主義の隠れた真実

     

    「成功とは、競争に勝つことだ」

    あなたはそう思っているだろうか?

     

    学歴、どの企業に就職しているか、フォロワー数はどれだけいるか・・・

    皆が競い合っている。(もしかしたらあなたも…)

    だが、そのさきに何があるのだろう?

     

    例えば、あなたが東京でカレー店を経営しているとする。

    同じような店がたくさんある中で、あなたは闘わなくてはならない。

    お客に来てもらうために価格を下げると、従業員に賃金を払うので精一杯になってしまう。

    これじゃ大変だ。

     

    では高級レストランなら楽になるだろうか?

    実はそうではない。

    ミシュランなどの評価によって競争は激化する。

    中にはミシュランの星をひとつなくしたという理由で、自殺した料理人もいるくらいだ。

     

    そう、競争は人を追い詰めるのだ。

     

    だが独占企業は違う。

    例えばGoogleはライバルを気にする必要がない。

    その結果、金儲け以上のことを考える余裕がある。

     

    Googleのモットーは「邪悪になるな」だ。

    このモットーはブランディングの一種でもあるだろう。

    それと同時に、企業が潰れることなど考えず、倫理について考える余裕があることも伝わってくる。

     

    ここで言う独占とは、不当に利益を独り占めすることではない。

    独占とは「他に変えが効かない唯一の価値がある」ことだ。

    これが「あなたというジャンル」を作ることの意味なのだ。

     

    Googleは検索エンジンという市場で独占企業である。

    Googleより、Yahoo!やBingの方が好きという人は、どれほどいるだろう?

    (もしBingの方が好きなら、あなたは変わり者に見られているかも)

     

    Appleはスマートフォン市場で独占企業だろう。

    他の安い機種には目もくれず、iPhoneしか買わない人が、あなたの友人にもいるはずだ。

    金額が他の機種の2倍だろうが、関係ない。

     

    独占企業は「他に変えが効かない唯一の価値」を持っているのだ。

    その唯一の価値を、ティールは「隠れた真実」と呼んでいる。

     

    小説家のレフ・トルストイは『アンナ・カレーニナ』の冒頭で、こう綴った。

    「幸福な家族はみな似通っているが、不幸な家族はみなそれぞれに異なっている」

    レフ・トルストイ[作家]

     

    ティールによれば、企業の場合は逆だという。

    「幸福な企業はみな異なっているが、不幸な企業はみな同じだ」

     

    つまり独自の問題を解決し、独占を勝ち取った企業は成功する。

    その他の不幸な企業は、いつまでも競争から抜け出せないのだ。

     

    プロッターは競争に勝とうとするが、ストーリーテラーは独占市場で自由に振る舞う。

    あなたは隠れた真実を見つけ、ストーリーテラーになるべきだ。

     

    隠れた真実を見つけた企業たち

     

    偉大は企業は、誰も気づかなかった隠れた真実が土台になっている。

     

    もしあなたに別荘があったり、空き部屋があった場合、それが新たな価値になると気づけるだろうか?

    Airbnbは誰もが見過ごしていた余剰スペースに、隠れた真実を見つけた。

     

    それまで旅行者は、ホテルに高い金額を払うしか選択肢がなかった。(まったく嫌になる)

    不動産所有者は、空き部屋を信頼できる相手に簡単に貸し出す手段がなかった。

     

    Airbnbはそんな未開拓の地を見つけた。

    誰もが気づかなかった需要と供給を発見したのだ。

     

    Uberも隠れた真実を見つけた企業だ。

    この企業は、アメリカで送迎サービスとして始まった。

    「どこかに行きたい人」と「送りたい人」をつなげるだけで、数十億ドルのビジネスが築かれた。

    タクシーが存在する中で、どれだけの人がUberのアイデアを思いつけただろう。

     

    ティールの問いを思い出そう。

    「賛成する人がほとんどいない、大切な真実はなんだろう?」

     

    もしあなたが友人からAirbnbやUberのアイデアを話されたとしたら、賛成できただろうか?

    「ホテルやタクシーがもうあるじゃん」

    そう思うかもしれない。(たぶん僕も同じだ)

     

    ほとんどの人は、そこに隠れている需要と共有に気づかない。

    だからこそ「唯一の価値」なのだ。

     

    誰もが見過ごす新聞の記事から、ストーリーテリングの新ジャンルを開拓した作家がいるように、凝り固まった常識の中に、真実を見つけた企業が成功する。

     

    隠れた真実は、実はそこら中に落ちている。

    問題は、あなたが真実を探しているかどうかである。

     

    「誰もが見ていながら、誰も気づかなかったことに気づく。研究とはそういうものだ」

    :コンラート・ローレンツ[医師]

     

    では、どのように探せば良いのだろう?

    次は隠れた真実の見つけ方について紐解こう。

     

    あなたがトライブを構築するストーリーテラーになるヒントは、すぐ隣に隠れているかもしれない・・・。

     

    第3章
    隠れた真実を見つけるために…

     

    カポーティの足取りは重かった。

    ディックとペリーの死刑に立ち会うために、絞首台へ向かっていた。

     

    絞首台は倉庫のような場所だった。

    大勢の刑事の中にカポーティはいた。

    ひんやりとした空気がその場の全員の肌を撫で、死を連想させた。

     

    ディックとペリーが到着した。

     

    最初にディックの刑が処された。

    首に縄をかけらる。

    聖書が読まれる。

    絞首台の床が開く。

     

    首の骨が折れる音は、想像よりも大きく、鈍い音だった。

    ディックは20分間ぶら下がり、医者に死亡を確認された。

     

    ペリーの番がきた。

    ペリーは古傷のある右足を引きずりながら、絞首台の階段を登っている。

    その姿をカポーティは見つめた。

     

    ペリーが絞首台の上に立つ。

    「言い残すことは?」

    執行人が尋ねる。

    「ここに家族は来てる?」

    「いいや」

    執行人が答えた。

     

    首に縄がかけられる。

    ペリーの呼吸が荒くなる。

    麻袋を顔に被せられる。

     

    牧師が聖書を読む。

    ペリーの呼吸はさらに荒くなる。

    心臓の鼓動が聞こえてきそうだ。

    カポーティの鼓動も激しくなった。

     

    聖書が読み終わる。

    執行人が絞首台のレバーに手をかける。

    ペリーの荒い呼吸が聞こえる。

    激しい鼓動が聞こえる。

     

    床が開く。

    ペリーが落ちる。

    ドサ、ボキッ。

    首の骨が折れる音が聞こえた。

     

    初めて会ったときから引きずっていた右足が、ゆらゆらと揺れている。

     

    カポーティがこの事件の取材を始めて、6年の月日が経っていた。

    手元に残ったのは、6,000枚のメモだけだった。

     

    「冷血」なのは誰?

     

    カポーティはその後、小説『冷血』を書きあげた。

    ノンフィクション・ノベルというストーリーテリングの新ジャンルによって、クラッター家殺人事件は世界中に知れ渡ることになる。

    カポーティは揺るぎない名声を手に入れた。

     

    だがその背景には、身を裂くような葛藤があった。

    人間の本性を書くには、自分の本性とも向き合う必要がある。

    それは想像以上に苦しい。

     

    『冷血』というタイトルは、何を表しているのだろう?

    幸福だったクラッター家を殺害した、2人の犯人のことだろうか?

    それとも友人の死刑を書き綴った、作家のことだろうか?

     

    傑作を創るには、覚悟が必要だ。

    隠れた真実を見つけるのは、難しい。

    だが探す価値はある。

     

    「私は冷血になんてなれないよ…」

    安心してほしい。

    隠れた真実を見つけるために、冷血になる必要はない。

     

    「向上心があり、人を導きたいと考えている、熱意のある専門家」のための隠れた真実の見つけ方をシェアしよう。

     

    隠れた真実はどこにあるのか?

     

    ピーター・ティールは隠れた真実を見つけるためのヒントを残してくれた。

    ありがとう、ティール。

     

    ティールは物事を以下の3つに分類している。

    簡単・難しい・不可能

    そして隠れた真実は「難しい」の領域にある。

     

    なぜプロッターが隠れた真実を見つけられないのか?

    それは「簡単」「不可能」の2軸でしか見ないからだ。

    つまり「難しい」を不可能領域だと思い込んでいる。

     

    だが「難しい」は可能領域である。

    難しい難問を探究する過程で、隠れた真実は見つかるのだ。

     

    隠れた真実は文字通り隠れている。

    あなたが「かくれんぼ」をするとき、どんな場所に隠れるか考えてほしい。

    なるべく人の目に触れない場所に隠れようとするはずだ。

     

    あなたの専門分野のうち、他の誰も見ていない領域に目を向けよう。

    その領域に、誰も見ていない重要な真実があるはずだ。

     

    「たとえば、物理学はすべての総合大学で主要な専門教科として確立されている。
    占星術はその対極にあるけれど、重要な領域とは言えない。

    では、栄養学はどうだろう?
    栄養は誰にとっても大切だけれど、ハーバード大学に栄養学の専攻はない。

    (中略)

    栄養について学ぶことは多いのに、僕たちははるかかなたの星についての方が詳しい。
    栄養学は簡単ではないけれど、不可能でないことは明らかだ。

    隠れた真実を見つけられるのは、まさに高いう領域だ」

    :ピーター・ティール[起業家・投資家]

     

    誰も殺人者の心に目を向けようとはしない。

    だがカポーティは違った。

    そして隠れた真実を見つけたのだ。

     

    隠れた真実を見つける習慣とは?

     

    隠れた真実は、次の場所に隠れていることがわかった。

    「誰も見てない領域」
    「難問を解決する道の途中」

     

    次は上記の場所で隠れた真実を見つけるための、具体的な習慣を3つシェアしよう。

    • 常識を疑う
    • 問題の課題化
    • 興味を捨てない

     

    常識を疑う

     

    隠れた真実は他の人が見ていない領域にある。

    それは言い換えるなら、常識から外れた領域ということだ。

     

    大胆に言うと、常識とは思い込みである。

    そして思い込みは真実を歪ませる。

     

    「本当にこれは正しいのか?」

    「もっと需要なことがあるのでは?」

    そうやって常識を疑うことで、プロッターには見えない領域が見える。

     

    そのとき、まるで霧が晴れるように、視野が広がるのを感じるはずだ。

     

    小説は本当にフィクションと決まっているのか?

    本当に旅行者はホテルしか泊まる場所がないのか?

    タクシー以外に送迎サービスはできないのか?

     

    そうした常識の裏に、真実は隠れているのだ。

    ときには非常識に考えよう。

    (だがそのせいで白い目で見られても、僕のせいにしないでほしい…僕だって白い目で見られているんだから)

     

    問題の課題化

     

    僕らは数多くの問題を抱えている。

    そしてその問題を解決することで、成長するのだ。

    成長するって、大変だ。(まったく)

     

    プロッターは問題を見て見ぬフリしてやり過ごす。

    だがストーリーテラーは問題を解決しようと奮闘する。

    なぜなら問題を乗り越える過程で、隠れた真実を発見することを知っているから。

     

    では問題に直面したとき、どうすればいいのか?

    それが問題の課題化だ。

    つまり「〇〇すれば解決するのでは?」という仮説をたて、その仮説を実行するのだ。

     

    Airbnbで考えよう。

    旅行者あるいは不動産所有者が抱える問題は以下のとおりだ。

     

    • 旅行者:ホテルしか泊まる選択肢がない。
    • 不動産所有者:信頼できる人に部屋を貸す簡単な手段がない。

     

    この問題を解決するための仮説を立て、課題化しよう。

    旅行者と不動産所有者が直接コミュニケーションが取れる場があれば、解決するのでは?

    そうやってAirbnbは生まれた。

     

    もちろん実際はこんなにすぐにアイデアは出ないだろう。

    (だって真実は隠れているから…)

    何百個の仮説を捨て、残った1つがAirbnbだったかもしれない。

    いくつもの仮設の先に隠れた真実は見つかるのだ。

     

    そしてこの長い旅路を支えるのが、熱意である。

    カポーティが事件の取材を6年間続けられたのも「人間の本性を暴く」ことへの熱意があったから。

    隠れた真実を見つけるには、量をこなす必要がある。

    『冷血』という一冊の本は、6,000枚のメモから生まれているのだ。

     

    「好きなことで生きられるほど、世の中甘くない」

    プロッターはそう言うかもしれない。

     

    だが真実は逆である。

    ストーリーテラーならこう言うだろう。

    「好きでもないことで生きられるほど、世の中甘くない」

     

    興味を捨てない

     

    なぜカポーティはたった1つの記事から、人間ドラマを見抜くことができたのか?

    僕なりの回答をしよう。

    記事を読んだとき、そこに隠れた人間ドラマがあることを、カポーティは見抜いてはいなかった。

    そう、見抜けるはずがないのだ。

     

    天才といえど、カポーティも人間だ。

    新聞を見ただけで、未来が見えるわけではない。

     

    カポーティは最初から「見抜いた」わけじゃない。

    小さな興味を切り捨てず、追求することで、結果として傑作を生み出すことができたのだ。

     

    カポーティが記事に興味を持った理由は、実際は「なんとなく」だったはずだ。

    ほとんどの人は「なんとなく気になること」に足を止めない。

    「あの店なんの店だろう」
    「あの本、気になってたんだよな」

    「でも今忙しいし」
    「まあ今じゃなくていいか」

    そうやってやり過ごす。

    (恥ずかしいけど僕にも思い当たる節がある)

     

    だがカポーティは違った。

    自分の興味を切り捨てず、徹底的に追求したのだ。

     

    自分の「熱意の持てる分野」を知っていても、最初の小さなきっかけを無視したら、隠れた真実へ辿り着くことはできない。

     

    ピーター・ティールは隠れた真実について語るとき、『指輪物語』に登場する詩を引用している。

    「角を曲がれば、待っているだろうか、
    新しい道が、秘密の門が。

    今日はこの道、す通りしても
    明日またこの道、来るかもしれぬ。

    そして隠れた小道を通り、
    月か太陽へ、行くかもしれぬ」

    :J・R・R・トールキン[作家]

     

    僕らは隠れた小道を歩いていこう。

     

    隠れた真実を語り
    キャラクターとトライブを
    構築するために…

     

    さて、ここまでの内容をまとめよう。

    • 隠れた真実を語ることはキャラクタライズに繋がる
    • 自分の「人生の意義」を理解することで隠れた真実は見つかる
    • 隠れた真実はあなたの独占市場を作る
    • 隠れた真実は「誰も見てない領域」「難問を解決する道の途中」にある
    • 隠れた真実を見つけるために、「常識を疑う」「問題の課題化」「興味を捨てない」を習慣づける

     

    ストーリーテラーは隠れた真実を語ることで、オーディエンスを新たな世界へ誘う。

    まさに迷子の子羊を導く、案内人なのだ。

    下記の記事ではマララという1人の少女が、「教育」の隠れた真実を語ったことで、世界を大きく動かしたストーリーを紹介している。

     

    誰もが見過ごしていた真実に光を当て、マララは人々を導いたのだ。

     

    「誰も気づかなければ存在しないのと同じ。
    誰にも観察されないものも同様だ。
    アーティストの仕事は、観察によってその何かを存在させることなのだ」

    :ウィリアム・バロウズ[作家]

     

    マララはある悲劇的な出来事を体験したが、その体験が彼女の人生を貫く原動力になった。

    それはカポーティも同じであることを、最後に示そう…。

     

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    カポーティが生涯手放さなかったものとは…?

     

    「誰も僕を愛していない」

    社交界で人気者だったカポーティが、ある日友人にこぼした言葉だ。

    「僕は奇人だ。みんな面白がるし魅了されもするが、愛してはくれない」

     

    親に捨てたれた幼少期から、カポーティの心の奥には孤独感が巣食っていた。

    叔母のスックと築いた関係を、大人になってから他者と築くことができなかった。

     

    誰もがゲイであるカポーティの独特の声や低い身長から、色物のように見ていた。

    人気者のように見えて、心の底からカポーティを慕っている人はいなかった。

    実際はどうかはわからないが、少なくともカポーティ自身はそう感じていた。

     

    本物の友情を築きかけた友人は、死刑になった。

    表面的な関係で繕われた社交界に、カポーティは1人になる。

     

    皆、僕の本性を見ない。

    皆、本性を隠している。

     

    だったらその本性を暴いてやる。

     

    カポーティは社交界のゴシップを元ネタした小説を発表した。

    そこには有名人の赤裸々な話が書かれていた。

     

    社交界は激怒。

    カポーティはますます酒に溺れた。

     

    その後、1984年にアルコール中毒が原因となり、彼はこの世を去った。

    59歳だった。

     

    「僕と住むなら、君の人生を書いておけ」

    後にカポーティの養女が、かつて彼から言われた言葉を残している。

    彼女が理由を聞くと、カポーティは答えた。

    「変わっていく人生の中で、本当の自分を見失わないためだ」

     

    カポーティの死後、遺品の中からひとつの缶が見つかった。

    彼が生涯手放さなかったもの。

    缶の中には、叔母のスックが焼いたクッキーが入っていた__。

     

    遠藤ユウが贈るもうひとつのストーリー。
    本編では語られなかった視点を、LINEでそっとお届けします。
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    遠藤ユウ

    情熱のある専門家へ。
    “あなたらしさ”を活かす物語の伝え方を発信。
    「我物語る、ゆえに我あり」を理念に、“売る”ためではなく、“あなたが生きた証を残す”ためのストーリーテリングを提唱。
    型にはまるより、型を使いこなそう。
    そしてあなたの知識と技術を「世界観」に変え、共感するファンと繋がろう。
    そんなあなただけのストーリーブランディングを共に紡ぎます。

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